書庫番

ヘルタースケルターの書庫番のレビュー・感想・評価

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
3.5
2012年7月14日 劇場鑑賞。

蜷川実花x沢尻エリカ このタッグだからこそ実現できた映像化なんだろうなと改めて思った。
沢尻エリカ以外の若手女優でりりこを演じられる人間が他に居るか?
そういう意味でも彼女は貴重な存在で、立派な女優。
役者本人が持つパーソナリティーと、作品中の演技を切り離して観られない人間は可哀想だと思う。
劇中に登場するりりこの壮絶な生き様を表現した結果、どれだけ心身を削って来たかは、素人目にも判る。
そんな彼女の姿が、蜷川美香の生み出す極彩色の世界に良く映える。

127分の尺で、終盤少しダレた様にも感じたが、りりこの”ケリの付け方”で持ち直した。
息を呑むような美しさと画の色合いも申し分無し。
蜷川監督が意図的に盛り込んだ、”ハイエナの様に死肉に群がりただただ貪るだけ”のメディアと大衆に対するアンチテーゼ。
それは、会見場のカメラのフラッシュや、街を闊歩する女子高生の会話のざわめきが齎す不快さに表れていた。

吉川 こずえ(水原希子)の凛とした美しさ。
多田社長(桃井かおり)の強かさ。
麻田検事(大森南朋)のキレ者ぶり。
共演陣は皆さすがの存在感だったが、中でもりりこのマネージャー羽田役の寺島しのぶの懐の深さには脱帽。
原作ではりりことほとんど同年代の若い女性である羽田役に、寺島しのぶを起用した事に付いて違和感を唱える原作ファンも少なからず居る。
しかし沢尻エリカのパッションを受け止められる女優が他に見当たらない。
素晴らしいキャスティングの妙だと思う。
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