Yukaneko

ヘルタースケルターのYukanekoのネタバレレビュー・内容・結末

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

中学生のときに大型ショッピング施設の映画館のあるフロアにエスカレーターで上がるときに見えた赤いドレスを着たぱっつんストレートの沢尻エリカの大きな宣伝広告を今でも覚えている。

数年前に一度観たけどレビューを付けるため再鑑賞。

官能的でグロテスクな美と狂気的な世界観が非常に好き。蜷川監督の独特の色使いが好き。尽きることの無い(無限の)人間の欲望と肉体における有限の美がテーマになっている。

人間の肉体の生々しさを表すためにセックスシーンを大きく見せているのだと思った。 他にも美容クリニックやりりこの部屋にも唇など人間の部分的な肉体がモチーフになっている。

写真があるから今と比べてしまう。写真は撮った時点で過去になる。それをりりこは部屋に飾ってるもんだから過去の栄光みたいになっちゃって今が惨めに感じると思った。

「こんなん(化粧品)ドラッグみたいなもんだから」ってセリフに共感できる。化粧をすることで自信を得られるけど、化粧品は1つ使うとこの色も別のブランドのものも…ともっともっと欲しくなる。

羽田が資料をポストへ投函するシーンが笑顔に見えたけど、それはりりこへの解放を意味してるのだろうか?そこの羽田の気持ちだけわからなかった。けど、スクープ作りに成功し、再び話題になったため、りりこはみんなから忘れられずに済む。りりこはみんなに夢を与えファンタジーを見せていた。

そして他人の手によって壊された(改造された)自分の体を、最後は自身で壊した(目を潰した)ことにより周りへの依存から解き放たれたのだろうと思えた。

りりこと対象的なこずえは、りりこより自分(モデル)の運命を理解していたため、大人的だった。それに比べ、りりこは最初から自分の運命に気づいていたわけでなかったため、夢を追い続けていたのではないだろうか。子供じみている。誰かに依存していないと生きていけない寂しい人だ。心も体も休まるはずの自宅までも撮影セットのようで虚飾で塗り固められている。

まとめ
どれだけ今流行の人が辛かろうと、一般人からしたら見えてる部分しか知らない。劇中のセリフでもあったが、みんな自分のことで精一杯。話題の人がどうなろうと自分には関係なく、ただ目の前に見えている流行を追いかけ、有限の美を楽しむだけである。女性の方が共感できそうな作品。
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