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静かなる復讐のとぽとぽのレビュー・感想・評価

静かなる復讐(2016年製作の映画)
3.5
LA IRA 怒り「失うものはない、俺は知りたいだけだ誰がやったのか」この西製復讐ドラマはあちこち転がっては急に来る見事なストーリーテリングの緩急、まさに静と動が道徳的倫理的曖昧さの中にハッキリとしている。復讐と贖罪、新たなる中年主人公像を打ち立てつつ。主人公がタイトル通り"静"なイメージなのに対し、一方で男女の情熱のように"動"を描いているものも特に面会で妊娠したって凄いな。終盤何気に震えた、痺れた(武者震い?)。案外あっさりと太陽の下紡がれるこの物語には、セリフにしなくても各々の葛藤がしっかりと見える。物語の導入部として言うなら『ドライヴ』とかでハリウッドを中心にクールに描きがちな犯罪モノの後日談で、被害者側から見た顛末。そして不思議な一味変わったロードムービーになっていく。いつの時代も庶民の心に火を点すリベンジものの胸熱さ(法で裁けない野放しになっている悪を制裁するのも同じ)。リベンジものを見る際にはどうしても情にほだされて復讐者側を応援してしむうタイプです、復讐を完遂しろと。途中お揃いのジャージ着て仲良しかよ!普段静かな人ほど何を考えているか分からないとはこのこと。消えない悲しみと哀愁、胸を締め付ける寂寥の想い。自分では偽ることのできぬ空っぽの想い。タイトルのイメージ通りスピーディーな作品ではないし、すごく面白いかは分からないけど新鮮で、詩的というか文学的というか"間(ま)"余白を大事にしている、無理に埋めることなく。映像で語ることを知っている。
「奴等を捜すのを手伝え」「妻と息子に何かあったらあんたを殺す」
「何とか言えよ、口が聞けないのか?」
TOMATOMETER100% AUDIENCE77
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