ワルキューリ

全員死刑のワルキューリのレビュー・感想・評価

全員死刑(2017年製作の映画)
3.7
原作『我が一家全員死刑』の手記を出版した鈴木智彦氏は解説を挟んだが、あとがきに「解説は偏向している」と自ら追記した。その理由は「そのままだと殺人を賛美しているように受け取られかねないから」というものだったが、それが告白の邪魔をしているとも認めているようだった。

翻って本作ではそういった「邪魔になる」要素を排し、逆に加害者本人の誇らしげな表明を随所に盛り込んだり、犯行内容は告白どおり。「監督って意外と真面目なのでは?」と感じたけど、殺人やマウンティングの描写が妙にリアルで「やっぱアブねえ…」と、どっちが本性なのか分からなくなった(笑)

俳優の中では間宮祥太朗がやっぱり目を引く。完全に「やったことのある」側としか思えない二面性。出番はあまり多くなかったけど、母の入絵加奈子の家族に乗っかるピーキーな性格の(傍から見たときの)ウザさ。

終盤ところどころにオカルトじみたものが出てくるけど、あれはクスリの影響なのかそれとも彼の贖罪意識なのか、それとも別の何かなのか?