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漫画誕生のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

漫画誕生(2018年製作の映画)
3.5
【漫画とは何か?】
今、文系の大学に行くと、絵画論、映画論、音楽論の授業が所狭しと並んでいる。大学はレジャーランドなので、そういった授業は推しポイントとなっている。

しかし、そんな時代でも《漫画》はやや軽視されているような気がする。しかし、漫画にだって理論はあるし、歴史はある。そんな陰にスポットライトを当てた作品『漫画誕生』が東京国際映画祭から1年以上の時を経て公開された。ブンブンの映画祭ボランティア時代の仲間が製作に携わっているというこてなので観てきました。

手塚治虫以前の巨匠・北沢樂天をイッセー尾形が演じている。若かれし頃から、ヨーロッパの風刺画の凄さに惹きこまれ、それを日本に持ち込み、出版界に影響を与えていった彼が、国から漫画検閲者として召喚される。役人との対話を通じて、風刺漫画とは何か?漫画とは何か?を観客に教えてくれる。

1枚の絵に、模倣、技巧を凝らすことでメッセージを染み込ませていく。これはただの通俗なポンチ絵ではなく、理論の芸術なんだと語っていくのだ。

映画演出自体は、割ともたついていたり、人物描写の過不足、粗が目立っているような気がしたが、映画が描いてこなかった歴史のすみっコの面白さを伝えようとする熱気に溢れていて、なかなか面白いものがありました。

余談だが、劇中に登場する手塚治虫のデビュー作『新宝島』の原本はGinza Sixの蔦屋書店で販売されています。尚、150万円と高いので要注意。
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