漫画誕生の作品情報・感想・評価

「漫画誕生」に投稿された感想・評価

東京国際映画祭で鑑賞。

日本漫画の近代の祖と言われる、北澤楽天の生涯を映画化した作品。

主演のイッセー尾形が、残っている写真のイメージをトレスしていて、実に見事。
新聞の風刺一コマ漫画から始まり、門下生に日本初のアニメを作った下川凹天らを抱え、少女漫画を初めて連載、出版した全集が幼少期の手塚治虫に影響を与え、戦中に軍に協力した悔いから戦後は大宮で隠遁生活を送ったところまで。

史実通りではなく、創作された部分が多い。
全体を通しての役人との会話や、同時代の作家たち~岡本一平(岡本太郎の父)・横山隆一(『フクちゃん』作者)らとのエピソードは映画として作られたものではあるのだが。
エンタメとして落とし込むには、なるほどと思わせてくれる内容でした。

映画単体としても、明治~昭和の漫画アニメ史に興味がある方にも、オススメしたい一本。
ただ、これまだ、一般公開日が未定なんですよね。
noobyoo

noobyooの感想・評価

3.0
第31回東京国際映画祭で鑑賞

私の地元埼玉大宮の名誉市民だったこと以前に日本最初の職業漫画家と云われる北澤樂天の存在すら知らなかったのは恥ずかしい極みです。しかもラストシーンのロケ地が自分の職場の直ぐ近くで尚ビックリ・・・

その広くは知られていない人物を題材にした映画を32歳の女性である大木萌監督が手がけたのは興味深かったです。

上映後のティーチインで監督さんが、歴史上に実在した人々が登場していても本作の物語りの細かなエピソードは概ねフィクションと語っていていました。ならば史実として見る以上の劇映画としてのパンチの強さがもっと欲しかった気がします。

イッセー尾形さんの成り切り感は相変わらずでしたが、北澤樂天元来の風貌を知らない弊害が否めず面白味が薄れたのも事実で、妻役の篠原ともえさんが意外な好演はしているものの深い印象が残らないのも作品全体の馴染み加減の弱さを象徴している様でした。
DON

DONの感想・評価

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己の夢や信念に対してどのように向き合うのかというテーマは『花火思想』にも通じるし、おそらく大木監督が描きたかったのはその部分に違いないのだが、残念ながら北沢樂天の「穏当な」伝記映画になってしまっている感じは否めない。

信念を灰に燃やしてもなお、何を白紙に描きつけることができるのか。その落とし前をつけるためには、樂天を支え続けた愛妻との関係をより深く掘り下げる必要があったのではないだろうか。
nait

naitの感想・評価

3.7
東京国際映画祭 四本目
漫画というコトバを作り出したとされる、近代漫画の祖、北澤 楽天(きたざわ らくてん)の話。
明治後期から第二次大戦にかけて活躍された方ということで、作品を観るまでは全くしりませんでした。

彼の若い頃と晩年を2人の役者で演じ分け。
晩年がイッセー尾形。西洋の新聞に載る風刺マンガから始まる彼のキャリアと絵描きとしての矜持みたいなところまで話が及ぶ。

もっとコメディに振り抜いてくれるとかなり見やすい話だったのかなと思う。
ひたすら人物は喋ります。
楽天さんが、本当に描きたかったものはなんなのかというところは面白かった。

イッセー尾形が凄いのは解りきってるが、
奥さん役の篠原ともえが実に良かった。
唯一両方の楽天さんと絡むのも納得。
lp

lpの感想・評価

2.5
東京国際映画祭にて鑑賞。

日本映画スプラッシュ5本目は、イッセー尾形主演の『漫画誕生』。日本で初めて「漫画」を職業とした、北沢樂天の半生を描く。

本編にQAで監督から聞いた話を組み合わせると、漫画に対する独自の哲学を持っていた北沢樂天が、時代の中へと消えていった理由が掴めてくる。ただ、映画本編だけだと、少し話の焦点がボヤけてしまうことは勿体ない。

映画の造りはユニークなシークエンスを盛り込みつつも、正統派の造りになっていて「ウェルメイドな映画」という印象を受ける。ただ、朝からコンペの『ザ・リバー』『愛がなんだ』と、ヘビー級の映画を立て続けに観た後では、どうしてもパンチ力に欠けてしまう。。。

決して悪くはないけれど・・・といった感じの映画でした。
日本漫画の祖と言われている北澤楽天の半生を描いた作品

正直、題材にされている北澤楽天を知ってて観た訳でなく、最近悪の強い役のイッセーさんしか観てなかったので、久々に普通(笑)の役に就かれていた観賞

楽天を取り巻く人々が多く、一度観ただけでは、人物構成が難しいなぁと思いつつ、ある意味、今までに語られることのなかった北澤楽天の、今後の資料題材という位置付けでも重宝されるのではと思う

時代に翻弄され続け、最終的に彼に何が残ったという訳ではないけど、「漫画家」という職業を確立した楽天の先駆者的価値はもっとあってもいいのかもしれない

イッセー尾形のキャラクターの成りきり度は相変わらずすごいなぁと思う
エンディングに楽天本人の写真が出てきたがほんとそっくりだった

興味深い作品でした