Cape

南瓜とマヨネーズのCapeのレビュー・感想・評価

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)
4.2
3ヶ月前から観たかったけれどポスターの雰囲気感が一緒に誰かと観るべき映画だなと思って先延ばししてようやく鑑賞。

なんとも言語化しにくい作品。主人公の女性はバンドマンの彼氏が音楽家として成功するために金を貢ぐ。それも手段を選ばない。いろんな苦労を重ねているうちに彼に対しても嫌気がさしたタイミングにちょうど大好きだった男に再会する。板挟みになりながらも、決断をいつも相手に委ねていた自分の性格を少しでも変えようと試みる話。

彼女はおそらく人に夢や希望、期待を意図せず押し付けてしまう癖がある。

音楽家の彼氏が音楽で成功するために私が資金的に助けてあげる。私の生活はあなたのため、あなたの才能が開花するため。その期待は本当に彼のためなのか?

彼は成功すると決めつけられて、彼女の生活を自分に全振りされることで、間違いなく窮屈感を感じていた。楽しくてやっていた音楽が”期待に応えるための道具”になり、やがて重荷でしかなくなったのではないだろうか。ちょうど受験期の母親がいい例だと思う。過剰に受験生の子供を援助しよう、私の生活の中であの子を第一優先に考えよう、と肩の力を入れられるのは子どもにとって間違いなく窮屈な要素だ。劇中の彼女は本当に彼が成功して欲しいなら、表面上はある程度放置と援助の割合を工夫してコントロールする必要があった。だが根本的に彼女は、いい曲を作ろうと努力する彼が好きなわけではなく、”夢を追う人間像”を勝手に彼に被せた彼のために、生活を捧げる自分自身が好きだっただけなのだと思う。

昔大好きだった男性に対しても(具体的な行動は違っても)態度は一緒。こんどは夢ではなく、大好きという気持ちを押し付けていた。

「好きばっか押し付けてきてさぁ、俺あの頃お前といてもぜんっぜん面白くなかったもん」
シンプルだがオダギリジョーのこのセリフが彼女の欠点を明かしている。恋愛関係は好きって気持ちをただ一方的に伝えればいいってもんじゃない。本当に相手とうまく行きたいのなら、相手の好きの度合いを計りながら、自分の与える愛情表現のメーターを調整することも必要だ。

与えすぎると飽きられたり、自分との愛情の大きさと比較した結果最悪あまりの大きさに引いてしまうこともあるだろう。
他にも相手の恋愛の好みに合わせて形式的な恋愛の形をコントロールすることも大事。恋愛に波風が欲しいタイプに対しては、時々冷酷に突き放したり、かと思えばべったり甘やかしてくる工夫も。年齢を経て安定を要求する相手ができれば、夜遅くなるのも努力して減らしたり、守れなかった約束は死ぬまで隠し通すことが重要。

という僕の恋愛観念を友達に明かすと、心からの恋愛って感じしないし味気ないみたいな反応が返ってくる。でも僕の場合目的がはっきりしてるから問題ないと思っている。僕は好きな人と安定したいい関係を出来る限り長く続けられればそれでいい。
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殊更面白いシーンが多い。笑えるシーン、一見修羅場なのに滑稽で一周回って怖いシーン、ほぼ無音の回想シーンなどなど。

僕の場合この映画は、スタートして10分で、絶対この映画は面白いなと感じました。
Cape

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