PG

空飛ぶタイヤのPGのネタバレレビュー・内容・結末

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ある晴れた日、道路を走る運送会社のトレーラーが脱輪事故を起こし、"空飛ぶタイヤ"が道を歩いていた親子の母親に衝突し即死させてしまう
事故原因の調査結果は「車両の整備不良」ということであったが、その運送会社の社長・赤松(長瀬智也)は納得がいかず、トレーラーの製造元の責任者・沢田(ディーン・フジオカ)を問い詰める
はじめは中小企業の社長など相手にしていなかった沢田だが、以前にも同じような事故があったこともあり、社内体制を疑う沢田
この会社はリコール隠しをしているのでは…

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度々ニュースで見かける脱輪事故及び、三菱リコール隠し事件がモチーフだろう
『七つの~』は電機メーカーの話であったが、今作は運送会社の話である

相違点を挙げるのであれば、主人公が戦う理由が「社長であること」が一番の違いだろうか
主人公が一従業員であった『七つの~』に比べれば、奮闘する動機に深みがある

主人公(の身内)が犯人だと疑われる話は、以前見た『望み』と重なる
『望み』では家族を守る話、今作ではどちらかと言えば会社の従業員を守る話であった
個人的には、せっかく主人公が家庭を持っている設定にしているのだから、もっと家族が可哀そうな目に合う方が好みだ
子供が学校で多少トラブルになるものの、あまり深刻な感じではなく、ストーリーに深く絡むことはなかった
映画なんてフィクションなんだし、ストーリーを盛り上げるためなら極端な話、作中で人なんて死んでもいいと思っている
結局のところ社会の悪い奴を懲らしめる話なのであるが、作中で主人公が苦しみ、それから解放された時のふり幅が大きい方が話が盛り上がるように感じる

また、この映画の一番重要な部分は「どのようにして悪が裁かれ主人公が救われるのか」であると考えるが、この部分の描写が割とあっさりしているように感じた 
長い時間をかけた割にスカッとさが物足りなかった印象である

演技については、表現がオーバーでもはや顔芸になっていた『七つの会議』に比べて自然だった これは監督の違いであろう 
どちらが好みかは人によるだろうが、個人的にはリアリティのある自然な演技の方が、社会問題をテーマとした今作に合っていると感じた

また、EDのバグパイプのような音から始まるサザンの曲『闘う戦士たちへ愛を込めて』が、俺がこの映画に抱くイメージからかけ離れている
劇中はほとんど音楽が流れず自然な雰囲気であったのに関わらず、いきなり騒がしい音楽が流れて水を差された印象になってしまった
ただ、書き下ろしなだけあって歌詞はこの映画へのリスペクトを感じる良いものであった
PG

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