冒頭の回想シーンでは、リオデジャネイロが舞台の『MEGA MAX』で、金庫を引きずりながら運転する、当時度肝を抜かれつつも大笑いしたカーアクションが再び映り懐かしい気持ちになった。ある意味ターニングポイントなった同作以来、毎回車を使ったとんでもない仕掛けで私たちを驚かせ、そして笑わせてきたこのシリーズ。今作ではローマの市街地を転がっていく鉄球を車で追いかけるシーンを見て、またも笑顔になってしまった共に、その尽きることのないアイデアに感服した。
リオデジャネイロに移って行われたレースのスタートシーンもよかった。レゲトンを象徴する大ヒット曲「ガソリーナ」リミックスの音の合わせ方も相まって、ゼロヨンのかっこよさと緊迫感を味わうことができた。そういえば、『MEGA MAX』は、レゲトンのスター、ドン・オマールらが出演しただけでなく、このシリーズの音楽＝レゲトンというイメージをぐっと強めた映画でもあった。『ファイヤーブースト』はシリーズの転換点となった『MEGA MAX』をさまざまな側面から思い起こさせつつも、さらに進化させようとする充実作だ。
