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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のFrengersのレビュー・感想・評価

3.2
初めてチャーチルが登場する場面における葉巻に火を付けたときに光る「赤」が、その後ラジオの生放送、タクシーを出ていく前の赤信号と結びつく。それは彼が新しい何かに導かれる瞬間、もしくは民衆に出会う瞬間を描写する。つまり本作は照明映画。初めて首相に任命された時における光に入る/出る等々もなかなか。ただダンケルクの兵士にくだる命令を俯瞰ショットで画面を引きながら、その後カメラが寄りながら安いCGの爆弾が落ちてくるシークエンスはダサかったけど。2010年代はやっぱり照明の時代でもあったんだなぁと。(例えば2022年の日本のドラマ『Silent』でも逆光によるフラッシュバックとか自然光と夕日の対比とかあって遂に日本作品でも共有されてきたかとか思っていたり。)

でも2017年の作品として見ちゃうと、これも今ではドラマで見たかったかも。そうすれば女性の視点、諸外国の視点、敵対している閣僚の視点を入れ込むことでここまでヒロイックに描く必要も無かったであろう。特に日付のタイトルによって断章化しているのでドラマという形式にも適しているし、伝記モノである以上、歴史的事実に即していなければならないという意味では映画的なプロットにもあまり向いて無いのではと。OPとEDの繋がりは頑張っていた。
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