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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のzkknのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

#2
脚本ががっつり構成されている印象。
チャーチルが自分の意見に確信を持つために、国民の意見を聞きに町へ繰り出すシーンが転換点。

◎対比
庶民の生活に馴染みのないチャーチルを描くために、
- 勝利のVサインだと思ってやるものの、実は裏表を間違えていて庶民では「くそくらえ」という意味のハンドサインをしてしまった(実際、チャーチルには議会での信用が得られない状況に対して「くそくらえ」の精神は持っていたのでタブルミーニングでは?)
- 地下鉄は一度しか乗ったことがないという発言(地下鉄で国民との対話を繰り広げるための伏線)

こうした対比は他にも、
- 議会の塩対応、議会の大歓声
- 野党の党首がハンカチを冒頭では拭わない、最後のシーンでは拭う
- 内閣の議事録を鉛筆で取る音、チャーチルの電報を打つためのタイプライターの音

◎反復
- 地下鉄で国民がneverというシーンや与党?の議員がneverというシーン。neverの声の数ほどチャーチルのdoubtは確信に変わっていき、議会での大歓声を得る。
- 日付が更新されるアニメーション
- ドアの開き方

◎考察
- 最初は敵だらけで非情に見えるチャーチルだが、そんな彼に人間味を垣間見させる存在としてタイプライターのレイトンと妻がいる。
- 口達者なのはチャーチルだけではなく、妻もそうであった。チャーチルが首相に就任した時の家族パーティでのスピーチ、王様が家を訪ねて来た時の励ましの言葉など。"You are strong because you are imperfect. You are wise because you have doubts. "は洒落てる。
- この時代に戦争もんの映画を作った理由はなんだろうか。ただの戦争ものではなく、ある一人の政治家の人間性に焦点を当てた物語。複雑さを増す最近の世界で迷いがたくさん生じ正解はないかもしれないけど、その中で自分の信念を貫く大切さを伝えたかったのかな。
- 原題のdarkest hourの方がいい。どんな物語が想像つく。そのまま訳すと日本では集客できないんだろうな。
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