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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のinuのレビュー・感想・評価

4.1
邦題は「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」。まるでチャーチル礼賛の映画のようだが、内実は違う。チャーチルの政治の良い点悪い点をしっかり描きながら、その人間性にも迫っている傑作だ。政治的な姿としてはカリスマとしての決断力と演説の雄弁さを、一方でヒトラーを批判しながらも自身も兵士の死を厭わない残忍さを持つ点が表裏一体に描かれた。また、一人の人間としてのチャーチルはあまりにも自分勝手で、突拍子もないこたを言う男であるが、一方でそこが人を惹きつけてしまう理由でもある。そんなあまりにも人間らしい姿が鮮やかであった。チャーチルは口が上手い。Speak like Churchill, stand like Lincolnなどと言われ、その雄弁さはノーベル賞の受賞理由にもあげられるほどだ。政敵までも引き寄せてしまうような力強さのあるリーダー。そこには、我の強さと国民の意見の吸収がある。
日本においては特に芯もない、強いて言うなら現実主義と言えるのだろうか(?)そんな宙ぶらりんな政権が長期化している。あんなもの、思想がない点である意味ファシズムよりどう猛と言えるかもしれない。国民の意思も組めないリーダーがカリスマか?そんなはずない。沖縄で何が起こってる?足元で国民は何を憂い、何に喜びを感じている?どんな決断も国民の下になければ意味がない。政治とはそういうものだろう。そんなことを考えさせられた。
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