有川浩さんの同名小説を福士蒼汰さん主演で三木康一郎監督が実写映画化した本作には猫ナナの愛くるしさと人々の優しさが溢れ、更に切なさも募って胸が一杯になってしまう。
本作は主人公の悟と飼い猫ナナの旅を描いたロードムービーなのだが、この旅にはナナの新しい飼い主を探すという目的がある。
猫好き、ましてや家族同然のナナと何故、悟が別れなければならないのか、その理由や彼が抱えている〝問題〟が、旅の道すがらで再会する小学校や高校時代の親友、初恋の女性とのエピソード、そして両親との思い出、ナナとの馴れ初め等、過去を振り返る中で明かされていく。
このところ激しいアクションを伴う主人公役が多かった福士蒼汰さんだが、本作では繊細で心優しい青年をエモーショナルに演じている。
そして福士さんをはじめとしたキャストと互角以上に渡り合うナナ役の猫が、猫好きのハートを鷲掴みするような〝名演〟で我々を魅了する。
終盤へと向かう中で結末は凡そ予想がつくのだが、それでも幸せな人生とは何なのか、そこにおける人との繋がりの大切さ、更にナナのような愛すべき存在が如何に掛け替えの無いものなのかが伝わってきます。
