鰹よろし

特別捜査 ある死刑囚の慟哭の鰹よろしのレビュー・感想・評価

3.6
 敏腕だったものの相棒にハメられ刑事を辞めざるをえなかったピルジェは、違法な法曹ブローカーとしてさらなる才能を開花させていた。

 ある日、仁川なら誰もがその恩恵に与る財閥の嫁を殺害したとして逮捕され死刑判決を受けた前科者のタクシー運転手が、刑事としての自分へと当てた手紙を発掘。元相棒へと復讐を果たす好機とみて彼は独自に調査を開始するのだった...

 本当に無実なら何とかなるだろ?

 黒幕の清々しいほどのクズっぷりもあって、当初のピルジェの動機を余所に何かに突き動かされていく様相がかなり好み。

 利害関係、損得勘定が人と人を結ぶ、恩がある故にまた恩恵に与ろうとその繋がりを断ち切れない非道で冷酷な社会において、ニンジン嫌いや好きな歌手などほんの些細なところに見出されていくシンパシーに始まる、DH包囲網に抗おうとする小さくともとても心強い”縁”の力に胸が熱くなった。
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