今のところ白石和彌の最高傑作では？ 『サニー/32』はがっかりな出来だったが、今作は総合的な完成度としては北野武の『アウトレイジ』シリーズよりも優ってると思う（もちろん『アウトレイジ』にも突出したものはあるのだけど、バランスとしては『狐狼の血』に軍配かと）。
誰かも言っていたが「役者がそろった感」がすごい。特に、松坂桃李は前々からチャレンジングな俳優だとは思っていたけど、ここまでの存在感を見せるようになるとは思っていなかった。もうただのイケメンではない。役所広司や石橋蓮司と並んでも引けを取らない。役者だと竹野内豊も意外にハマっていた。序盤で「大丈夫かな」と思ったのだが、そのあとは出てくるたびに「もっとこの竹野内豊を見てみたい」と思ってしまった。彼の出番をもう少し増やしてもよかったかも。
一点贅沢なことを言うなら、わざわざ『仁義なき戦い』オマージュな演出をわかりやすく入れる必要はなかったのではないか。十分新しい映画なんだから。
