公開当時は、映画会社がかなり力を入れて宣伝していて、日本暴力やくざ映画の復活などとも言われたが、コレがそれらかつての傑作群と肩を並べるような作品かって言われると、そんなでもない。過剰に期待値を上げられただけに、観賞後は「まあ、いいけど…」感がぬぐえなかった。
けしてつまらないわけではない。画面のテンションは常に高く維持される。だけど、東映のやくざ映画量産体制の絶頂期のリブートではなく、もうやくざ映画なんて流行ってないけど、そこそこ当たるから小慣れたもの作ってた時期の凡作にサスペンスの風味を足した現代版な感じ。関わった人全員が張り切った結果、既視感満載のセルフパロディのような映画になってしまっている。今の時代でしか作れないものではあるけれど、なぜか弱い。正直、古い。
役所広司の熱の入ったガラの悪い上司役、松坂桃李の堕ちていくエリート刑事という美味しいコンビも、やや持て余し気味。こういうのは量産されてこそ意味を持つものだ。東映リバイバルを背負って立つには、やや優等生過ぎる。
