キッチー

人生はシネマティック!のキッチーのレビュー・感想・評価

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)
3.8
好きな俳優、サム・クラフリンの映画2本目、前に観た「世界一キライなあなたに」もそうでしたが、ロマンティックコメディなのかなと思うと主題は別のところにもある、監督は違いますけど、今作もそんな感じを受けました。

第二次世界大戦中のロンドンでプロパガンダ映画制作の現場を描いた映画で、当時の雰囲気が感じられ、映画好きとしてもその現場を追体験できる部分があり、面白かったです。プロットやキャストが決まっていく過程がさらっと描かれているのもいいですね。そして題材がダンケルクに兵士を救出に行く姉妹の話で、映画「ダンケルク」を観ていたので、ばっちりのタイミングでした。

主人公のカトリン・コール(ジェマ・アタートン)は脚本を書いた経験がなかったが、情報省映画局のバックリー(サム・クラフリン)にスカウトされ、脚本の仕事を任される。連合国側が劣勢の時期、イギリスの戦意高揚のため、実話に基づくプロパガンダ映画を作っていく使命を課せられた人々。噂とは異なる事実、気難しい俳優、国の事情で度々入る横槍、バックリーとカトリンはその都度、才覚で切り抜けていく。最初は仲が悪かった二人も徐々に相手を信頼していくのところがいい。いつしか、それが愛情に変わっていく。
次第に近づく空襲、果たして映画は完成するのか...

映画制作の過程で大きく関わってくる老俳優ヒリアード役のビル・ナイ。今作の彼は脇役ながら主役と同じくらいの存在感があり、良かったです。演じたヒリアードも単なる我が儘じーちゃんではなかったですね。彼がエージェントの夫婦とする会話も好き。終盤カトリンに見せる大人の態度もいい。年をとって自分の役割が変わっていくことへの抵抗や諦め、それでも前向きに行動していく姿、ファンにサービスする姿も素敵でした。

物語は女性の成長も描いており、ラストはすっきりまとまった印象。タイプライターとか小物の見せ方がグッときます。女性監督らしく繊細な作品かな~と、思いました。
「17歳の肖像」「ワン・デイ 23年のラブストーリー」のロネ・シェルフィグ監督作品。
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