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はじまりのボーイミーツガールのmitoのレビュー・感想・評価

3.0
今年最初の映画鑑賞。
視力が徐々に悪化する遺伝性の病気に掛かっている少女マリー。
その少女に恋をする少年ヴィクトール。バレバレの待ち伏せをするような彼に対してマリーは密かに好意を持っていた。
いつも勉強が出来ず馬鹿にされている、ヴィクトールにある時マリーは勉強を教える、と申し出る…。

マリーは目の治療とチェロ奏者としての夢を天秤に掛け葛藤をしている。
ヴィクトールは死別した母親を未だに引き摺って、前へ進めないでいる。
その他にも細かいところに異様なまでに問題提起や風刺、揶揄と思われる設定や場面がある。

個人的にはヴィクトールの葛藤は描き方も問題自体も非常にシンプルで感情移入し易い。
対して、マリーの葛藤は色々描き方に難ありという印象。マリーは目の治療のため病院施設への入院を勧められているが、そうすると音楽学校の入学試験が受けられず、チェロ奏者としての夢が潰える、という設定。

この状況に対し、父親は施設入院を強く希望し、母親は「娘の夢を潰さないで!」と音楽学校受験を希望する。
マリーも当然ながら受験したい…まあ分かるんだけど、
父反対、母賛成という構図のせいで、マリーとの対立構造が凄いボヤケている。だったら両親共に反対という方が良い。

あと単純にまずは目治せよ、と(笑)
治療すれば治るっぽい流れだから余計そう感じる。これが某バレー漫画みたいに遺伝性で治療しても治しようがないという設定であれば納得がいくが、治療すれば治るならまずは治せ。話はそれからだと感じてしまう。

関連して、父親が目の治療を推奨する立場上、一人悪役的立場に回り続けるのも気になる。上記の疑念があると、父親のほうが正しく見えるため、散々な扱いに見えてしまう。

この辺の描写は個人的にフランス映画の悪癖である「良い話にする為なら力技を許容する」スタンスが出たかな、と感じた。
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