怖楽しかった。
いくつもの犠牲と葬儀を乗り越えて、より一層死の世界に魅了されていく狂気な男。素直な美談でない。地球側から見える月とは到底かけ離れた、起伏激しい月の表面はまさに“あの世”そのもの。きっと此岸に戻れぬラストのニールの姿に心底震える。
震えるといえば、ジェミニ8号に搭乗した際の、なんでもない機械の軋みやどこから入ってきたかもわからない蝿の存在には心をざわつかせた。観る者をそこはかとなく不安にさせる、こういう企みはいったいどこから生まれるてくるのだろう。
チャゼル作品でいちばん好き。傑作。