Yui

冬の旅のYuiのネタバレレビュー・内容・結末

冬の旅(1985年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

「楽して行きたいの」そう言いながらも徐々に茨の道へ向かってしまうヒロインのモナ。"自由"ってなんなんだろうなとこの映画を観ながらも、観終わってからもずっと考えた。

彼女が若すぎる哀れな死を回避できるタイミングは何回もあったと思う。でも彼女はそれをしなかった。
「長生きしたいのならこんな事はやめなさい」と言ってくれた人だっていた。

旅をしながら何にも縛られずに生きるモナを変人を見る目で見つつも、あんな風に生きられたらと憧れの眼差しを向ける周囲の反応も大変リアルで、飽くまでも第三者からの視点を踏まえて淡々と映像に落とし込んでいるアニエスヴァルダはやっぱり凄いなと感じた。

アニエスの作品は60sのものを中心に観ていたけどこれは私が初めて鑑賞した彼女の80s作品で、アニエスの撮る80sの雰囲気が私の中で新鮮だった。

モナがたった1人で最期を迎える時、彼女は泣いていた。どこかでこうなる事が過ぎった瞬間はあっただろうし、もし死んだってその覚悟はできてると思っていたのだろうけど、いざその時が来るとたまらなく怖かったのだろうな。
全てを捨てて自由になりたい!と思うけど、やっぱり人は独りじゃ生きられない。シンプルだけど人生は簡単じゃない…。
Yui

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