ATSUSHI

プリベンジのATSUSHIのレビュー・感想・評価

プリベンジ(2016年製作の映画)
3.5
I'M ON THE DARKSIDE♪

近年で一番観返したブラックコメディ『サイトシアーズ』のアリス・ロウさん。
またしてホラコメの本作はダミーではなく、本当に身籠っている状態で監督・主演を堂々務めたとされる!
Buzzfeedの2017年度ベストホラーランキングにも挙がり、強烈なビジュアル(赤ドレスの悪魔メイク)に惹かれながら2年越しの鑑賞が叶って感慨深い気持ち。状況が違えばミニシアターでの鑑賞もあったかも。


山岳事故より夫を失い、失意と絶望のどん底へ突き落とされたルース。その日を境にお腹の子から声が聞こえる
➖アイツらのせいでパパは死んだんだ。今すぐ奴らを殺せ


『サイトシアーズ』同様、これほどブラックな映画はどんなに外道な主人公でも少しでも共感できるかどうかにかかる。
アリス・ロウさんが本作に携わるに当たって、妊娠してから仕事を失うかもしれない不安と恐怖を抱えたことから始まったという。面接官とのシーンこそ、その憎悪は明らかで仕事を奪われる怒りは誰しもが感じたものではないのだろうか。
夫がいない事もあって、“父と子”の存在を欣羨的に見つめる眼差しも印象的。
個人的には、赤ん坊の命令から醜いブタ野郎と付き合う羽目に遭うシーンは本気でルースに同情した。愛してもいない男を隣にしたあの絶望し切った目、しばらくは忘れそうもない。俺も何回かあんな顔するし(笑)

助産師の女の人、なんか見た事あると思ったら『インブレッド』のソーシャルワーカーと『スローターハウス・ルールズ』の主人公のお母さんだったわ。
クソビッチ面接官も『ウィッチ』『ゲット・デューク』の人だし、何気話題に挙がる作品に出てる顔ぶれが揃ってる。皆しゃべり方もルックスも独特なんだよなー


ただ満足度に関していうと、実はラストが肩透かし気味なのも正直な話。
これはさずか出産間近でタイトなスケジュールの影響か、リリースまで2年待った僕の期待しすぎもありますが

あのハロウィンコスで一人も殺さないうえに、大トリの復讐相手はオフスクリーンで済ます辺りはホラーを求めてる側としては減点せざるを得ない。女版『タクシードライバー』としての見応えも90分以内でまとめるにはまだまだエピソード不足。
ラストからすればルースと赤ちゃんのその後も気になるから、感染状況が鎮まってからでいいので是非ともゴアとブラックユーモア増し増しで続編希望致します!




最後に好きな台詞
『I think nature's a bit of a cunt, don't you?』
『Mommy I want a Play Station, mommy I want you to kill that man...』