原作をなぜかいま読んだので鑑賞。
Phantom Film Horipro メ〜テレ
【他人は他人なんだけどね】
前半で過剰なミュージカル要素もあって、なんだ原作より楽天的じゃないか、と思わせて、中盤の絶望パートで観客を苦しめる。
個人的な妄想の中で人はいくらでも繋がれるし、理想を描くことができる。でも現実は、他人はどうしたって他人だし、一人は結局一人だ。
二こと霧島くんがなんだか前半ではものすごくうるさくて、しつこくて、加害性のあるように見えるんだけど、後半の流れでは一転する。好きになった人が全て背負うのは間違いなんだけど、猛々しいまでの想いがカメラに収められている。
誰だってイチを信じてる。たとえ名前を覚えていなくても、私と似ているし、理想の人だし、趣味合うし、好きは好きなんだ。だけど、それって本当に他人か?その選択で本当にいいのか。
私も信じていたいけど、この映画として行き着くのは、「他人の不確かさ」みたいなところなんだと思う。一人で暮らしているとなんでも自分の思い通りになるけど、完全な他人ってそうは行かない。空気読めないし、なんだか一緒にいてモヤモヤするし、正直不快だったりする。だけど、過ごす時間の長さが、距離感を変え、率直過ぎる関係性が生まれてしまうんだと。
痛みみたいなものを描きながらも、しっかりと地に足のついたラブストーリーだったかなと。どちらかというとヒューマンドラマ寄りではある。
もうパンチしかない松岡茉優の演技、仕事終わりでも集中してしまう、話の密度に拍手、ということでこの評価。
「あのこは貴族」がアンチテーゼとしているような、女同士が憎み合う感じ、かなーり解像度高め。