ひーちゃん

勝手にふるえてろのひーちゃんのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
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「昔好きだった男の人を、神様にしちゃうんだ」と言っていた友だちを思い出した。

ヨシカも同じで、中学から10年間片思いしているイチをずっと心の中に彼氏として住まわせている。

じっくりことことシチューのごとく煮込んだ恋心は、もはや信仰的で、非現実的。
お陰で現実問題告白してきた二にきちんと向き合えない。わかる、わかるぞ。
自分を好きになってくる(タイプじゃない)男性って、どうしても好きになれない。

ヨシカは自尊心は低いくせに、プライドと理想ばかりが高くていつも空回りしてる。その痛々しさはもはやコミカルで、観ているお客さんはみんな笑っていた。
けれどわたしは笑い事じゃないとひとりハラハラ。

あ〜これ、完全に自分じゃん。

会社のみんなから「処女だ…処女だ…」と噂される被害妄想のシーンはそのままわたしの脳内で笑いました。

いびつで、ねじれて、こじらせて。
ああこんなにも世界は生きにくい!!

「汚い言葉を使うのもわたしだよ!わたしを愛してるなら、ありのままを受け止めてよ!!」

ってセリフが一番心にグサリときた。
なんて、幼稚で傲慢なんだ…!
でもわたしが一番思ってた言葉でもあった。
うわ、反省。反省でしかない。

綿矢りさの歯切れの良いセリフを、サクサクと唱える松岡茉優がとっても魅力的。
原作は昔読んでいて、どう映像化するのかしらと疑問に思っていたけどなるほど。そうきたか。
シュールな笑いもたまらなくツボでした。

これが刺さった人はきっと「スウィート17モンスター」も気にいると思うのでぜひ観てほしい。

鑑賞後、後ろのカップルの彼女がヨシカの真似をして「ファック♡ファック♡」と言っているのを聞きながら、脳内でファックと呟き帰路につきました。