佳

勝手にふるえてろの佳のネタバレレビュー・内容・結末

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


ヨシカが視野見?について話すとき、すごくすごく長いセリフなのに、いろんな人との会話でその文章ができていて、所々聞いている相手の相槌が入る。コンビニの店員とかにまで話しておきながらあげく「SNSに上げる気はない、世間に発表する価値ない」というところも面白い。SNSみたいなシーンだなと思っていたので。
でもそのあと、今まで話していたように見えた街の人達誰とも話していなかったというオチにびっくり。
この後いろいろあったヨシカは同窓会で使ったアカウントで紫谷として「死にたい」とツイートするところから、話せるリアルな相手がいなくて誰も自分の本当を知らない現代人を表してるかのようだとも思ったけど考えすぎかなぁ
人同士の関係性が希薄な様子が後半荒れていくヨシカを通して描かれているのも何か関係あるのかなぁと思った

ヨシカの適当で大雑把でサバサバしてるところがとっても好き。
フレディとwe will rock youのシーンがとてもとても面白かったし、出来杉くんの話に後ろ向いて「うっわーー!」って顔してるのも、外に出てから一人で「わーーー」って言うのもすっごく気持ちわかる、わたしもよくやる。

中2役までできちゃう松岡まゆすごい

ヨシカの脳内に召喚されるイチの断片的なワンシーンが断片的すぎて美しいこと美しいこと。実らない片思いで、自分の脳内だけでどんどん美化される景色ってなんであんなに綺麗なんだろうな〜

「ヨシカが神頼みなんで〜」という同僚とヨシカの会話が神社の前から始まったり二の告白もホテル街だったり、セリフと場所の関係性が面白い映画。

タワマンでキャピキャピ女に連れて行かれるイチがいて、ヨシカが泣きそうな顔をしているときに聞こえるペンの音が泣き声みたいでここも面白かった。
そのあと中学以来ぶりに発動する視野見からの久しぶりのイチ!!!!!

二が絶妙に鬱陶しかったのに卓球のシーンで一瞬かっこよく映されて、その後
イチ=アンモナイト、絶滅した動物
二=動物園の生きてる動物
という対比になっていた
いつもマフラー置く時も気遣われていたアンモナイトがマフラーに隠されて代わりに二のくれた付箋が隠れていなかったところも
ヨシカがたまに指でくるくるを描くのはアンモナイト?

くるみからの留守電を、電話の自動音声で「消去はイチを、保存は二を」なんの変哲もない音声が意味を持ってくるところ面白い!

被害妄想も炸裂していくヨシカと、一生懸命な二の口喧嘩のシーン、二は相変わらずおかしなところもあるけれど、憎めないやつだと思った。

脳内召喚よりリアルに召喚。
カイジ以来の「悪魔的」
名前で呼ぶこととは。


象徴的な場面が多くて、音や映像がとても素敵で、画面の端々にまで意味がある感じがした。
そういうのがちゃんとわかりやすく描かれているのも良い。
よく授業とかで昔の映画みて、「このシーンはこういう意味なんですよ」とか説明されて、説明されると、へぇってなるけどそれを自力で読み解くことはできなくて、できるようになりたいと思っていた。
でもこの映画を見て、もしかしたら、読み解けるかどうかって同じ時代を生きているかどうかにも関係するのかなと思った。現にこの映画で表されていることは自分の身に覚えありだったり、毎日生きているこの時代の生活で感じるものだったりしたから。もしかしたら昔の映画も、昔の人は授業みたいに難しく考えなくても自然に読み解けていたのかもしれない。

最後「勝手にふるえてろ」のセリフの意味をもう一度よく考えるためにもう一度見たい。
最終的に二に至った過程も、もう一度考えたい。

何回でも見たい映画だった
佳