初めて観たのはもう15年以上前。
まだ子供の時分、オダギリジョーさんが好きだったので彼が出ている作品を片っ端からレンタルしていた中にこれがあった。
当時は同性愛者への偏見もまだまだあった頃だろうか。私は偏見だのなんだのを持つ以前の問題で、なんの知識もなかったように思う。
ゲイの老人ホームなんてすごい設定だな、くらいの感想しか持ち合わせなかった。
オダギリジョーさん演じる春彦がかっこいい、また逢う日までを皆で踊るシーンが楽しそうで好き。とまあこれくらいのものだ。
だけどなぜか心に強烈に残っていた作品。
あれから随分大人になってしまった今になって観ると泣ける映画だったのだと知った。
柴咲コウさん演じる沙織の心のグラデーションが好きだ。
綺麗なドレスに身を包んだヤマザキさんを馬鹿にした彼女の元同僚に謝れ!と怒りを露わにするシーンで涙が溢れてしまった。
それを見た春彦のどこか嬉しそうな顔も良い。
それぞれの人生、葛藤、寂しさ、愛、欲望、いろんなものが混ざっていて、それでいて静かで柔らかい。邦画特有の空気感があって日本ならではの繊細な作りだと思った。
また数年したら観てみようと思える作品。