とつ

コロンバスのとつのネタバレレビュー・内容・結末

コロンバス(2017年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

まず構図、面白い。建築写真家の友人の作品を思い出すような。建築家の撮るような写真。

建築物は美しい。見る前から「建築」というテーマ(視点の制約・ヒント)を与えられると、こうも映画の見方が変わるのか、という発見。

「景色が変わって見える」というキャシーの言葉は、この映画全体のキーワードになっていたと感じる。

キャシーが、海外に行くことになった理由が明確に示されていないことも好きなポイント。劇的に何かが変わるポイントなんてなくて、みんな雲を掴むような感覚で、それでも真剣に自分の人生を決めていく。描かれていたベッドでの母親との会話がそれを示唆していて見応えがあった。

音楽の演出も挑戦的。特別に仕立てられた音楽はなく、どれも映像の中で人物が行った実際の行動に紐付きそれがBGMのような演出になるのはとても面白いと感じた。よりrawな空気感を映し出すんだなぁ、と。

また、定点の目線の高さで撮影され続けているため、カットとして長回しに感じて、それがまたrawな印象を強くするんだなと思った。建築物も、目線の高さから撮影されるので実際に見るときの圧と向き合っているような感覚を持つ。

最初と最後のカットで、構図や演出が合わさっていたところも、そして合わさっていなかったところ、ここも何かが1周して、何も変わらないようで、確実に何かが変わったんだという感覚を持たせられた。

ポストカードが可愛かった。こういうグラフィックをつくるか、パステル絵具でかいてみようと思えて、それもまたよいインスピレーション。
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