Omizu

五人の斥候兵のOmizuのレビュー・感想・評価

五人の斥候兵(1938年製作の映画)
3.6
【1938年キネマ旬報日本映画ベストテン 第1位】
『はだかっ子』『湖の琴』の田坂具隆監督作品。戦意高揚映画ではあるが、巧みなカメラワークとヒューマニズムあふれる視点において評価が高い。ヴェネツィア映画祭イタリア民衆文化賞を受賞した。

確かにカメラワークが素晴らしく、五人の斥候兵が戦場を駆け抜けるところは『1917』を思い出す見事な横移動の撮影。湖の霧がかった美しい表現などなかなかよかった。

前半は占領した地での兵たちのつかの間の休息を素朴に描き、後半は五人の斥候兵が偵察に出るのを戦闘描写を交えて描く。

日本軍のキレイなところだけを描いている、という批判も可能だが、同時に善の部分ももちろんあっただろうし、そこを上手く描いているとも考えられる。

亡くなった兵士への悔恨、戦場でのささいな喜びが直に伝わってくるようであった。

録音が聞き取りづらいが戦前の作品なので仕方ない。戦争映画が苦手なので絶賛ではないが、かなり優れた作品なのは間違いない。
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