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月と雷のotomisanのレビュー・感想・評価

月と雷(2017年製作の映画)
4.1
 白ける話だが草刈の母ちゃん、何人移り住んだのか?それでも智ひとりなのか?どうにでもなるし、切り抜けられるとはそういう事でもあるのか?ちっともわからないのに草刈を見れば何となくははーっと感じるものがあって俺でも引っ掛けたら釣れてしまうんだろうかと脳内がドロドロするのであった。どうせ拾った恋だもんとは捨てられないんだろうがプイと姿が消えたらどんな後を引くのだろう。ちょっと知り合ってみたい気がする。
 こんな女の倅がこれまたケロリとして世渡りする。草刈を見てははーっと思った以上、そんなもんかーっと見てるほかない。ところがまさかの一発屋が思った通り泰子を受胎させ一体何人目だとと思えどそんなことおくびにも出さず最後は遂に消えたのか戻って来たのか?どっちと思うか答えで性格判断ができるだろう。
 まあ、今でなくともいずれ姿をくらますかもしれないが草刈母ちゃんのように死期を悟って泰子の家に戻ってくるのだろうか。草刈もそんな年でも無かったろうに、智はきっともっと早いだろう。話の最後、康子が智を迎えに出たのならこの時かもしれない。
 こんな風に覚束なげに血縁をつないでまた次の風まかせ、新しい草刈か智が始まるのだろうか。そうと思えば昔、この家に三人が半年を共にした事も今また同じ三人が一夜を過ごした事も摩訶不思議なからくりのように思えてくる。文化が意図して継承されるように、身についた草刈流生き方はいつかこうなりますようにと相手の情に働きかけ手がかりを遺し、時を経てあらためてその仕掛けを手繰って寄って交わりを果たすものかもしれない。智が男として生まれた事は冷酷にも"草刈文化"継承のため、その種を植え付けるだけの役を果たすために過ぎないのかもしれないが、そのほうがいかにもオスらしいだろう。
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