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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のucandoitのレビュー・感想・評価

5.0
再視聴

もう一度観ても最高にスリリング、さすがスピルバーグです。

大変重要な問題を扱っています。報道の自由と国家機密。政府は自分の過ちを過小評価して機密漏洩の脅威を過大評価します。

第二に新聞社の編集の経営からの独立。編集主幹は経営からの介入と徹底的に戦います。日本から見ると夢のようだ。

更に政府や企業の影響をもろに受けるテレビと新聞のクロスオーナーシップ(日本では未だに許されている)、三権の独立、女性差別。

それと文書保存の重要性、マクナマラは自分たちに都合の悪い資料も後世の研究の為に保存します。日本の現政権は50年経った今でもこれに逆行して政官の過ちを隠蔽しようとしているのは情けない。

1971年の話ですが、日本のメディアは未だに政権との距離感保つ努力が見られない。民主主義の成熟度の違いです。国家に対峙するワシントンポストを他の報道機関が全面的に支援するところが感動的。

新聞は歴史書のfirst rough draftだそうです。トランプに対する危機感が感じられます(日本の現状はさらに酷いです)。ポストは政権に出禁にされるがこれがウォーターゲイトの序曲、というエンディング。メリルストリープは余り好きでは無いがここでは好演してます。

トムハンクス演じる編集主幹の動機にはライバル紙に対する競争心や功名心も見て取れますが、女性社主の苦悩を説く奥さんが素敵(オーシャンズ8のサラ・ポールソン)途中までは全く脇役ですが最後にググッと存在感を示します。見事なヒューマンドラマに仕上がりました。

又、ベトナム戦争に懐疑的だったマクナマラの苦悩も感じられた。傑作です。
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