このレビューはネタバレを含みます
素晴らしい高揚感。かなり好きな映画です。勇敢な記者達の姿に涙してしまいました。
アメリカの自由の精神と民主主義の真髄が詰まっている映画。現代のMeToo運動に通じる「権力に屈しない」アメリカ人の芯の強さといったものも改めて感じる映画でした。
実際にスティーブン・スピルバーグ監督はトランプ政権への怒りを感じていたというし、この映画でも真実というものを描きたかったという心が真に伝わってきます。
この映画で一番勇敢であったと言っても良いダンは物語の後半、テレビで大統領や政権についての意見を述べるんですね。スピルバーグ監督はここで、トランプに向けてのメッセージを、彼を通じて発信しているのだと思います。
ペンタゴンペーパーズに関する記事が出る前日、様々な思惑が交錯し、時に誰かの家まで走ったり電話も鳴りっぱなしで、片や記事を仕上げるのに寝ず仕舞い。もう、ほんとぐちゃぐちゃなんですね。
いくら報道すべき正しいことがあるとはいえ、友情や人間関係のしがらみ、投獄の恐れといったものを越えてそこに踏み切るのは簡単なことではない。
その中で大義というか、使命だけをすくい上げて奔走する人間達の姿というのはとても美しい。
われ先にと日々スクープを競い合うライバル達が、人間としてすべき命題を前にそれぞれの方法で走り、結果的に大きな連鎖となって報道の自由を勝ち取る。そこにはそれぞれのリーダー達の勇敢な決断があり、それは建国の父達の精神にも通じていた。
メリルストリープの「Let’s go, Let's go」というセリフと表情がもう本当に素晴らしいというか、このシーンのためにすべてがあったと感じられる。トムハンクスとのツーショットも最高の贅沢だと思いました。