Komi

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のKomiのレビュー・感想・評価

3.7
もちろん素晴らしい映画に仕上げた監督の功績はすごいのだけど、加えて歴史に刻まれた実話の内容の面白さもありますし、何より、役者さんたちの卓越した演技の賜物ですよね。

誰もがその力を認めるメリルですが、毎回、「上手い」の詳細を注意深く見ていくと、本当にその才能に感嘆してしまいます。

演じる時って、「ガラスの仮面」の北島マヤじゃあるまいし、その役が「降りてくる」なんてことはそうはなくて、ちゃんとその役割、人間性などを分析した結果と、そこからイメージしたとおりにちゃんと演じられる力が必要な訳で。
まあ言わずもがなですが、同じ「偉い人の役」でも、出世欲と実力でのし上がった女性(プラタを着た悪魔、アイインザスカイとかみたいな)と、夫の遺志を継いで社主になってしまった、普通の主婦感覚を残してる女性では全然違う。話し方やいでたちはもちろん、立ち方、歩き方、微笑み方他、細部に渡って緻密に計算して、その計算のとおりに演じた結果、どれもメリルだとわかるのに、全然違う人に見えるという凄さに、もうどうしても目が行ってしまうのでした。もう本当に、毎年「またアカデミー候補に入ってる」とかで流さずに、毎回受賞してもいいくらいなんだよ!
と思います。

そして、この映画のトムハンクスも、何か顔つきや立ち居振る舞いがほかの映画の同年代の役とも違っていたように感じました。トムハンクス色を抑えた感じ…?
素晴らしい映画は、主人公だけが光ってるのではなく、共演者がときに引き立てることで互いに光り合ったりすることで素晴らしい出来に仕上がるのですね、と思いました。彼の演技もすてきでした。
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