Masato

蜘蛛の巣を払う女のMasatoのレビュー・感想・評価

蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)
3.2

ハリウッド版ミレニアムシリーズ最新作であるが、前作のフィンチャー版とは完全に別物なので、前作を見なくてもミカエルとリスベットの関係性が分かりにくい以外は全然平気。

逆に、まだ前作を見てない人は見ないほうがいい。というのも、今作は前作のこじんまりとしたミステリーとは打って変わって、ミッションインポッシブルみたいな核が絡むたいそうなアクション映画になっている。前作の雰囲気が好きな自分は、あまりにも「普通のアクション映画」になりすぎてて退屈だった。M:iみたいなぶっ飛び具合もなく、大人しいアクション映画なので、ひたすら退屈。

前作のようなジャーナリズムを感じさせるような、一つ一つ手繰り寄せていく感じもなく、かなり簡素化している。核兵器の物語が、何かのテーマに繋がるわけでも無く、呆れてしまうほどの陳腐な設定なだけ。リスベットの過去の話もオマケみたいなボリュームで深みがない。作品が作品なだけに、物語に重厚さがないと面白くない。単なるアクション映画とマッチする題材ではないのだ。

あのフェデ・アルバレスなので、フィンチャーみたいな癖の強い映画になるのかと思いきや、無難でありきたりなアクション映画になってしまうとは。幻滅。ドントブリーズ2は期待してる。

また、前作が原作1作目なのに対して、今作は4作目を基にしているので、製作側も完全に別物だと割り切って、キャストを一新している。だが、前作のキャラがあまりにも合いすぎていて、キャストがしっくりこない。リスベット役のクレア・フォイはアクションをこなし、ルーニー・マーラ程ではないが、よく頑張っていると思う。しかし、ミカエル役の新人が酷すぎる。前作のダニエル・クレイグとの年齢が違いすぎるし、存在感が無さすぎて全くもって印象に残らない。どういう基準でキャスティングしたのか。これで興醒め。
ラキース・スタンフィールドはカッコいいので許す。

前作とは別物だと割り切っていても、無意識的に思い出してしまう。単体としては、それなりに楽しめる作品にはなっているが、シリーズとしてはかなり微妙。

やはりフィンチャーって天才だったんだ。

まさかとは思うが…過去はブラックホールと似ていて、固執すると取り込まれて消えてしまうって話、前作と本作が別物のことを言っているのか…?
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