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アネットのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

アネット(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

心構えから音声、照明、ピントが合い、スパークスの音楽とともに主演の二人が送り出されて「映画」が始まる。そもそも全ての映画は映像を繋げたファンタジーなんだという当たり前の事実を突きつけるように突飛ともいえるシークエンスのオンパレード。しかしプロット自体は実はシンプルで俳優の演じる/演じさせられるの揺らぎ(少し「サンセット大通り」っぽいかも。階段の使い方も含む)と唄(音楽)について。夢やニュースすら並走させながら、光と音楽さえされば、何度でも蘇るし重力に逆らうこともできる。最後に歌を拒まれ、俳優でいられなくなったヘンリーはカメラ越しに観客に向かって言う。「俺の顔をもう見るな」
 内幕もののファンタジーという一見矛盾を孕んでいるように見えて、映画とは何か、何が出来るかを細部まで考え抜いた作品だと思う。2022年に劇場に足を運び、闇に浸りながら作品を見ることの意義を感じさせる意味でも今年の一本。
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