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アネットのあのレビュー・感想・評価

アネット(2021年製作の映画)
4.8
一言で言うと、好き!なのだけど、話を理解できたかと問われたら、正直よく分からない😇
主題としては、毒親(というか、自己愛の塊な両親)から自立する娘アネットの話だと思うのだけど、両親の主張が強すぎて😂
でも、だからこそ幼いアネットの強い決意が痛いほど分かるし。
アンも言っていた通り、一国一城の主だったそれぞれが出会い、二人で一つの城に住んでしまったが故の悲劇。
ヘンリーは愛を知り、満たされた事で才能を失い、アンと二人だけでいられればそれで良かったのに、アネットが居た事でアンの愛が分散された事でギリギリに保っていた心の均衡が崩れていって、アンはヘンリーと出会った頃からお腹に子供が居たことがわかってて、自分と同類だと思ったヘンリーが自分の事を愛してくれてると分かったからやっていけると思って、子供の為に"家族"であろうとしたけど、それはママゴトの延長にしか過ぎなかったのかなと。
そんな二人だから、アネットの事は人形にしか見えてなかったのだろうなあとも。
それは指揮者も同じで、アネットはあったかもしれない理想の象徴でしかなくて、それはやっぱりアネットの事は一個人としては見られて無かったのかなと。
そんな破壊と再生を繰り返す中で、それぞれが信じる愛の形を見出していく物語を、スパークスが作り出した唯一無二の楽曲と歌で情感たっぷりに表現されているから、テンションぶち上がりにならないはずはなく😇
敢えて中の人として行列をなして歌い歩くオープニングとエンディングも、現実と虚構の世界の橋渡しをしていて、始まりは勿論、終わった後も本作に浸れるようになっていて、独特な高揚感が味わえるのも良かったー!

中の人の演技も素晴らしく!
アネットは人形だと一目で分かる形容なのに、赤子時代の愛くるしさは勿論の事、成長を遂げる毎に周囲の状況を敏感に察知している伏し目がちの悲しげな表情に、繊細な動きは、もはや人間よりも人間らしくて魅せられる!
人間になってからの強い決意の表情や、子供とは思えぬ程に力強い歌声は、しみじみ聞き惚れる。
ヘンリーのアダム・ドライバーは、ぶっちゃけ歌が上手いとは思わないのだけど、心の声が直球で歌に乗っている歌い方が、いちいち胸に刺さる!
皮肉屋の憎まれ役という役割から一転して、愛するが故に心の均衡が崩れて狂っていく様を全身全霊で演じ切っていて凄いの一言!
特に、妻殺しの独白ジョークと、面会室での心の叫びに涙。
アンのマリオン・コティヤールは、オペラ歌手を過去に演じてた事もあり、安定の歌声にただただ感服!
パッと見か弱い被害者にも見えるけど、その実は強かな感情を持ち合わせた逞しい女性を体現してて流石の貫禄だった!
あ