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Dark Night(原題)の堊のネタバレレビュー・内容・結末

Dark Night(原題)(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ドローン→FPS→Google Map。撮影監督がエレーヌ・ルヴァ―ル。『エレファント』よりもずっと叙情を削ってASMR映画にしている印象。ドゥニの『Friday NiGHT』(2002) と比較している人いた。24フレームに晒され続ける目はマシンガンに撃たれていることと区別できない、シャッター音、駐車場の嬌声、血のように見える水滴、暴力的なミキサージュース。言ってしまえば「100日後に死ぬワニ」な映画なんだけど、あまりにも題材そのものである「『ダークナイトライジング』射殺事件」にセンセーショナルに寄り添いすぎているために届くはずでない観客に届きすぎている印象がある。事件そのものに対して感傷的に追悼するよりも生活そのものに見えていなかった死を蔓延させていく本作の手法は確かに市民感情と真っ向から対立するかのように思える。だが、「こんな映画はつくられるべきではない」と憤慨している感想で溢れているアメリカこそ、『ダークナイト・ライジング』を撮らせた国にほかならない。


ドローン→FPS→Google Map→実写映像にはピクトグラム化を拒むかのようにみえて、抽象化そのものを映すことで解答を放棄しているように思える。複雑すぎる現在にクリシェ化ではなく安直なドキュメンタリー的手法でもなく、べつの方法で抗うこと。ポストマンブルコアにしてもA24にしても模索してる方角は同じように思える。なんにせよティム・サットンは今作がはじめてなので、他の作品をみてみたい。
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