Ren

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2のRenのレビュー・感想・評価

3.5
【ハリー・ポッター初心者日記⑧】

大団円として観たいものが観られてとっても満足!130分とシリーズの中でもコンパクトにテンポ良く纏めつつ、かつ見せ場も多いのでずっと飽きずに楽しめた。

「分霊箱の破壊=ヴォルデモートを倒す、という明確な目的に一直線に突き進む」「殆どのシーンでアクションしてる」「話が止まる瞬間が無い(止めようがない)」時点で単純にお話としてとても分かりやすく、前二作の不満点をオールクリアしている。監督がどうして急にこれができるようになったのかは分からないけど、このように観客をぐいぐい引っ張っていくライド感こそ求めていたものだったと確信した。

完結編としてもかなり良かったと思う。大多数のキャラクターがこの最終章で最も輝いていたというだけで超上出来。ファンサービスではなく、全員が物語の必然性を背負った上で選択し決意しその場その場の主人公として輝く。全員が同じ大きさでポスターに載っていないといけない。

何より、「ハリー・ポッター」という作品のカラーの向かう先が、最推し・スネイプ先生の元へ収束していくことに熱くなった。今作の伏線回収は十中八九彼絡みだ。
登場人物の殆どがハリー側か/否かでほぼ二分していた中でどこか宙に浮いていた彼が、終盤の数分のシーン一発でシリーズの軸となりしかも彼を中心にして全ての視点がぐるりと変わったような快感がある。ずっと「青春映画」「(ダーク)ファンタジー」として観ていたのに、ここに来て普遍の愛の話としての側面がぐわっと前景化した。彼がこのシリーズの読後感を全て変えた。誰かを守るための愛の話。ハリポタは『シックス・センス』だったのね。どこかで見た「裏の主人公はスネイプ先生」という言葉はその通りすぎるほどその通りだと思った。

難を挙げるなら、
○ これだけの長シリーズだったら、リリーとジェームズ周辺の話をもう少しできたのでは?もっと蓄積があったほうがラストで打たれたと思うけど。
○ 映画だけだと、ヴォルデモートがそこまで強い存在だとどうしても思えなかった。終盤ハリーを抱えてホグワーツに乗り込んでくるところ、完全にフリボケになってたぞ。
○ ニワトコの杖虚弱すぎないか。冒頭でオリバンダーが杖を持って、なかなか折れないみたいな発言をしてたと思うけどそれをフリには使わないのか。
○ 登場人物が横一戦で活躍するのはとても良いけど、弊害としてハリーの印象は薄くなった。スネイプ先生は言わずもがな、マクゴナガル先生やネビル辺りが見せ場を奪っていく。

全作観終えて、宿命や成長や犠牲を扱った壮大な話だったけど、どうしてもそこよりミクロで日常的な場面の描写に萌える見方が最後まで抜けなかった。
故に、
○ 逆転時計を触ろうとしたハリーの手を引っ叩くハーマイオニー(『~ アズカバンの囚人』)
○ ロンの頭を本で引っ叩くスネイプ先生(『~ 炎のゴブレット』)
○ 選ばれし者だもんと調子に乗るハリーを引っ叩くハーマイオニー(『~ 謎のプリンス』)
が個人的名シーンTOP3。甘酸っぱくてダサくて可愛い彼らを愛でているところにヴォルデモートが水を差す、邪魔すんなよ系青春映画として最後まで追いかけた。そして全員推せるキャラクターのまま終わってよかった。
Ren

Ren