怒涛のラストミニッツレスキューに向けて邁進するクロスカッティング劇。
ピーター・ジャクソン監督作品。前作"旅の仲間"を見たのでこちらもリバイバル鑑賞してみた。
まず本作はロードオブザリングシリーズ2作目にあたり、主にローハンと呼ばれる人間の国での戦いを描く続編となっている。だがしかしオープニングでは前作でのガンダルフとバルログの戦いの続きが見られる初っ端クライマックス仕様がしっかり盛り上げてくれるのも見もの。
ストーリーラインは前作で散り散りになった旅の仲間たちの3視点クロスカッティングで進んでいく語り口、ゴラム.フロド.サム、ピピン.メリー.木の髭、ガンダルフ.アラゴルン.レゴラス.ギムリ.ローハンの民の3パートをわりとゆっくり切り取っていく。見せ場は多々あれど流石に前半はゆったりすぎて堕情な展開もあり、まあ3時間半の上映時間では仕方ないかなとシリーズ物で中間の時系列の弊害が見える。
しかし打って変わって後半は前半でゆっくり紡いだ物語が加速し、クライマックスに向けて集約していくワクワク感が異常。ヘルム峡谷の籠城戦とエントのアイゼンガルド襲撃の二つの大戦役の見せ場がやはりすごい、ハワードショアのスコアがまた見せ場を盛り上げ、ヘルム峡谷での援軍シークエンスはまさに神話のように美しいショットの連続で素晴らしすぎた。
全体的に構成がDWグリフィス"イントレランス"に近いラストミニッツレスキューに集約していくクロスカッティング映画と呼べる仕上がり、流石に前半はだらけた部分もあるがこの構成なら納得してしまう凄みがある。全体的に無駄が無いストーリーラインだった"旅の仲間"には負ける気がするが、圧倒的すぎる戦闘シークエンスでは圧勝な2作目で手に汗握ったなぁ。