松本CINEMAセレクトの上映会にて鑑賞。
とんでもなくトリッキーだけど熱い映画だった。こんな映画が成り立つなんて、奇跡としかいいようがない。
74分ワンカットで撮られた映画ではあるけど、74分そのままをリアルタイムで描いた映画ではなく、舞台稽古開始から上演中止決定、そして当日までの3ヶ月の物語を描いている。
さらに上演される(はずだった)劇中劇まで挿入される。
とてもワンカットとは思えない複雑な構成やそれを撮りきる撮影技術、そして俳優たちの演技にただただ圧倒されてしまい、一度観ただけではすべてを感じ取るのは難しかった。
でも、好きになれる映画だった。
青春という時代の持つ、とんでもなくキラキラしていてエネルギーにあふれた瞬間を切り取った映画は本当に大好きだ。
「アイスと雨音」というタイトルもいい。
彼らのどうにもならない鬱屈した状況を象徴しつつ、そこを抜け出し未来へ歩き出す予感をも感じさせる。
やがて雨はあがり、陽が差してアイスは溶け始めるのだ。
稽古場で始まり劇場のステージで終わるこの映画を、映画館ではなく主に演劇などを上演するホールで観られたのは本当に幸せな事だったかもしれない(ちなみに大ホールではNYLON100℃の舞台が上演中だった)。
客席にいる自分が、ラストシーンに立ち会っているような感覚をおぼえた。
上映後、主演の森田想さんのアフタートークあり。
撮影はテストを含めて4テイク撮り、本編に採用されたのは最後のテイクなんだそうな。