えり

スキン~あなたに触らせて~のえりのレビュー・感想・評価

4.0
監督がこの映画を観て感じて欲しかったのは、少なくとも五体満足で生まれた有り難みを実感する事ではないでしょう。


独特な世界観と多様な身体的特徴や嗜好を最後の最後まで惜しげもなく映す事で見る者の感情を揺さぶり、その価値観に「普通って一体なんなのか?」を問いかけてきます。

最後のキスシーンまで観て感じたのは、もはや「普通」なんてものは存在しない、あるのはマジョリティかマイノリティなのかということ。私の価値観が周りとだいたい違わないからといって自分は普通と思うのは少し傲慢なのかもしれない。皆それぞれの価値観があって生きているし、それぞれにとっての「普通」という尺度がある。

もし世の中の大半の人が一つ目だったら2つ目のある私が奇形ということになるのでは…?全ては遺伝子が決め、それに優劣をつける事はできない。

この映画を理解する事は人間を理解する事だと思いました。

以下ネタバレ⚠️




消化器官が逆さまのサマンサは視覚的にも機能的にも奇形による影響が大きく、彼女の苦悩や葛藤が物語の主軸になっていました。レストランで涙するシーンでは、あるべきところに口がある私達には到底理解できない苦しみを抱えているという事が分かります。

目のない娼婦ローラと太った女性が出会ってから恋をするまでのシーンは感動的でした。ローラに目があったら2人は結ばれていたか??見える事で見えないモノが世の中にはたくさんありそうですね。


視覚的な衝撃が凄すぎて3回に分けて鑑賞しました。1度目は通勤中の電車の中で見ましたがそういう場所で見る映画ではありませんでした。少し覚悟が必要な作品ではあります😂 とても考えさせられる内容で価値観をひっくり返されるようなエネルギーがありました。
えり

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