IRAのテロによって愛娘を失った男の人復讐劇。
怒りの矛先をどこに向けるべきか分かりやすい巨悪が設定されず、人生の最後の目的が殺しになってしまった老人の虚ろな行動がカタルシスを与えることはない。
元IRAの過激派が政治的駆け引きを通して20年近く表面的な争いに蓋をして、アイルランド担当大臣なる要職に就いている。
ジャッキー演ずるベトナム系男性は他に手立てもなく彼に近づき犯人の名前を教えろと迫る。
アイルランドと香港が被って見えたのは私だけだろうか?
返還からはや20年。一国二制度で50年。
限りなく未来の話には思えたのが、折り返し地点に近づき、自分の子供や孫が確実にその混乱に巻き込まれる姿が見えてきている。
本作で多くの観客にとって感情移入しづらい題材を選んだのは、老いたジャッキーの使命感と感じた。
政治的圧力だけでなくて圧倒的な財力をも有し、香港を吞み込みつつある中国。
テロすらなく生活や命が侵食されようとしている脅威を映さんとしているのではないか。
なかなか難しいだろうが、中国に刃を突きつける作品を!