れもん

映画ドラえもん 新のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜のれもんのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

2011年公開の『ドラえもん』の映画シリーズ31作目(「第2期」6作目)で、7作目『のび太と鉄人兵団』のリメイク作品。

世間の評価が高い印象でかなり期待して鑑賞したけど、個人的にはリメイク元の7作目を下回るとは言わないが上回るとも言えない作品だった。

冒頭、博士がアムとイムを作るシーンが追加されていたのは良かったけど、その直後のシーンで早々に鉄人兵団の目的やリルルの役割が明かされてしまったのは残念だった。
7作目は、しずかがザンダクロスのボタンを押した瞬間に楽しく明るい雰囲気から不穏で不気味な雰囲気に切り替わるのが魅力のひとつだったと思っているので。

今作をリメイク作品としてどう評価するか≒オリジナルキャラクター・ピッポの追加をどう評価するかだと思う。
ピッポの追加で作品の内容に様々な変化があったからだ。

まず、ミクロスは重要なキャラクターから単なる小道具となってしまっていた。

また、7作目でも今作でもしずかがリルルに対して「時々理屈に合わないことをするのが人間なのよ」と語るシーンがあるが、7作目のリルルはロボットらしく理屈に合わないことをしない状態で登場したのに対し、今作のリルルは既にピッポを助けるという理屈に合わないことをした状態で登場する。
つまり、今作のリルルはしずかとの交流によって理屈に合わないことをするようになったロボットではなく、元から気まぐれで理屈に合わないことをするロボットだったのだ。
今作では時間をかけてしずかとリルルの交流を描く意味がなくなってしまっていた。

そういった変化から、ピッポなんて追加しなくて良かったのにと思いながら観ていたし、ピッポの可愛らしい姿や仕草すらあざとく感じて辟易しながら観ていた。
けれど、最後にピッポがザンダクロスの頭脳として戦うシーンではまんまと感動してしまい、なんだか何かに負けた気分だった。

雰囲気や物語性が優れているのは7作目、作画の迫力や観客への求心力が優れているのは今作だということにして、今作は7作目と同じスコアにしておこうと思う。

でも、サブタイトルに「天使」というワードを入れるなら、リルルの「私はメカトピアの天使になるの」やしずかの「貴女は今天使になってるわ」というセリフは削らないでほしかった。

どうせ削るなら時代に合わせてリルルのお色気シーンを削れば良かったのに。
でもそれでは古参の男性ファンが残念がるのかな。笑

【2022.08.18.鑑賞】
【2022.08.20.レビュー編集】
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