カツマ

修道士は沈黙するのカツマのレビュー・感想・評価

修道士は沈黙する(2016年製作の映画)
4.3
イタリア映画祭2017にて鑑賞(3本目)
今映画祭の中の目玉の一つにして『ローマに消えた男』の監督ロベルト・アンドーと主演のトニ・セルヴィッロが再びタッグを組んだ作品。ミステリアスでありながら政治的メッセージを強烈に詰め込み、圧巻の構成力と展開力で一気にまとめ上げた力作!見事としか言いようがない。

バルト海の高級ホテルで催されたG8の財務相会議。そのリーダー格ダニエル・ロシェ専務理事は自身の誕生日を祝いを兼ねてポップスター、絵本作家、そして修道士を招く。この場違いな場に修道士が呼ばれた理由はロシェがある秘密を彼に打ち明ける(告解する)ためであった。だがロシェは告解の翌日死体となって発見される。自殺か、他殺か、そして告解の秘密とは。揺れるホテル内で繰り広げられる群像劇は次第に政治的な一本の芯を通して鑑賞者に語りかける。

トニ・セルヴィッロ演じる修道士はこの物語の良心として太い幹となって立つ。ラスト15分でのどんでん返しと神からの掲示とも取れるメッセージは、今この世の中で起こっている社会的問題を浮き彫りにしている。骨太でありながらサスペンス要素を加味し、更に群像劇としても上質なクオリティを達成するという離れ業は見事。絵本作家役のコニー・ニールセンやロシェ役のダニエル・オートゥイユなど脇を固める名優達の好演も光る。
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