翠

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスの翠のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

芸術家の作品は、その人の人生そのものなのだと思える、心を豊かにしてくれる作品。
最後から言ってしまうと、モードが亡くなった後、缶から求人募集のメモが見つかったところで涙が溢れて、エンディングのカウボーイ・ジャンキーズのやさしい歌に涙が止まらなくなる。
エベレットが「絵を売っています」看板をしまうのと同時に、芸術家でありエベレットの「最高の女房」であるモードの人生も幕を閉じる素晴らしい演出…
サリー・ホーキンスの演技、観ていて胸が熱くなった。本当に惹き込まれた。

若年性リウマチであるモードは手足をのびのびと動かすことが難しい。
両親が亡くなった後は叔母に引き取られ、借金にまみれた兄が勝手に実家を売ってしまい疎遠になる。
リウマチのことで腫れ物にされたモードは、叔母の家を出てエベレットの家政婦として住み込みで働く。
元孤児のエベレットは頑固で厳しく、こちらもまた街では腫れ物扱いされていた。
そんな二人が一緒になり、結婚し、モードの絵が売れてケンカしたり微笑ましい生活をしたりと…なのだが、全体的にとても質素な暮らし。
厳しい自然環境と小さなお家(と言うには可愛すぎる表現だが、実際は住むには結構…厳しそうな家)で暮らし、絵を描くモード。
自分もイラストを描いているのだが、モードの暮らしを見ていたら何も言えなくなった…絵描ける環境が悪いとすぐ文句言うし、寒かったり他人から口出されてもすぐ文句言うし…
毎日絵を描き続けるモード、そして毎日描き続けるようになるにも大変だった暮らしを考えると、自分はもっと成長しないとな…笑
モードもエベレットも幸せそうに笑うところ、見ているこちらも幸せのお裾分けをしてもらった気持ちになれた。
初めは観ていてしんどかったが、段々とエベレットと打ち解けて、籍を入れたあたり(結婚したあたり?)台車に乗るモードとそれを押すエベレットが可愛くて、中盤あたりから観ていて良かった…と思えた。

この監督、モード・ルイスさん大好きと見た。勝手に。
モードもエベレットも愛に溢れた生涯だったかもしれないが、監督も十分モード愛に溢れている。好き。
翠