このレビューはネタバレを含みます
実在の人物である画家モード・ルイスと、その夫エベレットの半生を描いた作品。甘ったるい映画ではない。しかし、だんだん本当の夫婦になってゆく2人が、心にほんのり灯をともしてくれるような名作。
「シェイプオブウォーター」のサリー・ホーキンスさんが主役です。モードは子供の頃からリウマチに苦しんだそうですが、演じる仕草が本当に障害のある人のそれにしか見えない。歳とともに少しずつ動かなくなっていく身体表現、上目遣いでぎこちない笑顔、ものすごい演技力です。
負けず劣らずの名演、夫役のイーサン・ホーク(老けたね)。昔気質で粗野な男です。序盤はモードへの酷い仕打ちの数々に私の豆腐メンタルが飛び散りそうになります。あ、あかん…
しかし氷が溶けるように、ゆっくりとお互いを理解し、いつしか慈しみ合う2人。とりつくしまもなかったエベレットがモードを気遣う素振りを見せ始める。これが愛だよなぁ…と心が温まり、じんわり涙があふれます。孤独に生きてきた2人だから寄り添えたのか。こんな夫婦になりたい……
実際のエベレットはなんと、晩年に絵を描いていたようです。最期は自宅に強盗が入り殺害された模様…なんて無慈悲な…
2人が違う世界で幸せに暮らしていますように。。