藍住

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスの藍住のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

モードは家族の中で厄介者扱いされて、エベレットは頑固で孤独な人間。
二人が夫婦になるまでの道のりは程遠く、前半は観ていてとても辛かった。
エベレットは人とあまり関わりを持たない生活をしてきたせいか、常に抑圧的で、モードに手もあげる。
モードは仕事とお金が無いから、そんな酷い仕打ちをされても、出て行くことができない。
お互いがお互いをよく知らないばかりに、ぶつかり合って傷つけ合う。
2016年に公開された映画で、こういうところはあんまり観たくなかったが(特にエベレットがモードを殴るシーンは観ていられなかった)それでも、彼らが過ごした時間と、歩んで来た道を丁寧に描こう!としているのが分かった。
二人のぎこちない空気感の描き方は絶妙だし、彼らが認め合い、夫婦として頑張って行きていこうと決めたあたりからの展開はとても好きだった。

モードが荷車に乗り、エベレットがそれを押す。
なんてことないシーンが何度も挿入されるが、そこが良かった。
あんなに美しい風景はなかなか観られない。

モードが亡くなった後、看板を片付けるエベレットの寂しい後ろ姿が忘れられない。
モードはエベレットに愛されていたけど、エベレットも同じようにモードから愛されていた。
最後のやりとりはとても慈悲深く、悲しいけど美しいシーンだった。
藍住

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