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ジェイン・ジェイコブズ ニューヨーク都市計画革命のMKのレビュー・感想・評価

4.5
建築業界では著名な作品。
誰もが都市計画に携わる訳ではないし、その気もなかったので学生の頃なんとなく読んではいたけれど、映画化されたとのことなので鑑賞。

行政との関係性も深い推進力のある大局的な都市計画家と、都市に住まい、機会や関係性といったものに着目するミニマルな女性作家との対立という構図で著書が語られる構成は分かりやすかった。

自動車や飛行機と言った交通手段の変化と人間的なスケール感を無視した抽象的な都市計画が日本だけでなく世界の都市を破壊し、人間らしい生活を失わせている。
高速道路による社会や生活の分断が歩行者空間を損わせているという指摘は今観ても刺さるものが大いにあった。

でも何にしても移動、行動して出会って、機会が起きることが都市なんだとすると、新しい生活様式は都市のかたちや交通をどのように変えてしまうんだろう?

生殖器、性感帯の部位が異なったら世の中の既成概念が崩壊するはず、なんて言ってた漫画家がいたけど、これぐらいのパラダイムシフトが起きるのかもしれない。

巡り巡って都市計画的な仕事をする様になったいま、久しぶりに著書を読みたくなったので取りに実家に帰ろう。

新たな都市のアンサンブルはどんなものなんだろう…

〜メモ〜

都市は万人に何かを提供できる
でもそれは万人によって作られた時だけ

計画的ではない
秩序のある複雑性の問題

都市での暮らしはいい面ばかりではない
汚く 混沌としており濃密で
人と人が関わり合う

死んだ都市はある意味では美しい
人があまりいないから
予測可能だ
理解できる都市は死んでいる

生きている都市は
混雑していてストレスがたまる
だが夢が叶う場所でもある

無秩序に見える古い都市の下には
その古い都市が機能している場合
街路の治安と都市の自由を維持するための
素晴らしい秩序があります
それは複雑な秩序です

全てが動きと変化で構成されていて
暮らしであって芸術ではないけれど
都市の芸術形態と呼び
踊りと考えましょう
個々の踊り手やアンサンブルが
別々のパートを担いつつ
奇跡のようにお互いを強め合い
秩序だった全体を構成するようなもの
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