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ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.5
1920年代、心理学の教授であるウィリアム・モールトン・マーストン(ルーク・エヴァンズ)は、授業を受けていた学生のオリーブ・バーン(ベラ・ヒースコート)に惹かれ、彼女を助手にする。 
彼とともに研究をしていた妻のエリザベス(レベッカ・ホール)は当初オリーブへの嫌悪感を示すが、彼女もまた徐々にオリーブに惹かれていく。 3人は共同で嘘発見器の発明に向けて研究に没頭するが、あるときその関係が明るみになり大学を追い出されてしまう。 大学を出て3人で共同生活をする中、2人の進歩的な女性に触発され、マーストンは”ワンダーウーマン”という新たなヒロインを産み出し大ヒットコミックとなる。だがマーストン教授たちと「ワンダーウーマン」には、世間からの強い風当たりが待っていた。
ガル・ガドットがワンダーウーマンを演じたアメコミ映画「ワンダーウーマン」が話題になり、長い間女性解放運動のシンボルとして理想の女性像として多くの女性の憧れとして愛され続ける「ワンダーウーマン」の誕生そして「ワンダーウーマン」の原作者マーストン教授と二人のワンダーウーマンの秘密を描く映画。
前半は、嘘発見器を開発するマーストン教授と妻エリザベスと助手オリーブの嘘発見器を完成させるまでの苦闘、マーストン教授と妻エリザベスと助手オリーブの一見奇妙な三角関係。
後半は、大学を追い出されたマーストン教授たちが女性解放への思想を込めて生み出したスーパーヒロイン「ワンダーウーマン」の誕生秘話、コミック「ワンダーウーマン」の中のアダルトな描写が問題となり検閲など国との壮絶な戦い、マーストン教授たち3人に対する強い風当たりとマーストン教授たち3人の関係の戦い。
マーストン教授は、嘘発見器開発に加えて、女性解放運動に支援している。
マーストン教授の妻エリザベスは、女性の入学を多くの法学院が禁じていた当時、数少ない女性弁護士で、強い意思と行動力を持っていた。マーストン教授の助手となるオリーブ・バーンは、女性解放運動家マーガレット・サンガーの妹の娘で、純真で明るい。
ワンダーウーマンには、マーストン教授が愛した二人の女性エリザベスとオリーブの性質が合わさった特質、強さと優しさそして成熟と純真がある。
ワンダーウーマンの原作コミックのストーリーでは、毎回ワンダーウーマンが力の源の左右の腕輪を敵に鎖で繋がれピンチになるが、鎖を断ち切り敵を倒すという展開が定番になっている。
鎖は女性解放運動家にとって、女性が権利を制限された状況を表現するシンボルだった。マーストン教授は、ワンダーウーマンが鎖を断ち切り敵を倒すストーリーを通して、女性たちに社会から押し付けられた「女性は男性に従い生きるべき」などの価値観から自分を解き放ち解放して欲しいというメッセージを、「ワンダーウーマン」に込めた。
国の検閲は、アダルトな描写よりフェミニズムを子供たちに吹き込んでいるという部分を問題にしていた。またマーストン教授の妻エリザベスと助手のオリーブの同性愛関係、マーストン教授の夫婦関係を両立させていることを、当時の世間は不倫のようなふしだらな行為として非難し、マーストン教授の子供はいじめにあった。
それでもフェミニズムが勢いを増す中で、「ワンダーウーマン」はフェミニズムの思想的な部分をスーパーヒロインとして表現したコミックとして支持され大ヒットコミックとなった。
フェミニズムのそして「ワンダーウーマン」の根本を知る上で必見のヒューマンドラマ映画。
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