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あさがくるまえにのTOTのレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
4.3
心臓が繋ぐ命と希望のリレー。
脳死による臓器移植の24時間を、悲しみに耽溺することなく、叙情をたたえ精緻に描く脚本。
愛しい彼女との夜に別れを告げ、窓から未だ暗い街に自転車で駆け出す、物語の始まりを捉えるカメラが、やがてスケボーで走る仲間のカメラと交錯し、一つの熱量になって海へと統べる優美。
サーフィンで圧倒的な海に包まれて、波の粒と一緒に波打つ少年の鼓動の生命感。
ケーブルカーを追う自転車の全力疾走(数多ある青春映画でもこんな素晴らしい描写なかなか無いと思う)。
それら瑞々しいショットの数々が、少年の事故をきっかけに、医療と周囲の人々を映して正確に硬質な緊張感溢れるショットに変わる。
ドナーとレシピエント、その家族、医師や看護師、コーディネーター。
命と命、人と人のリレーを静かに紡ぐ物語のダイナミズム。
しかもさ〜〜!!エンディングのあの曲のチョイスさ〜〜〜!!!!!
泣くよ!そりゃ泣くよ!!!!!

本作と『汚れたダイヤモンド』は、『汚れた〜』のアルチュール・アラリ監督の兄トマ・アラリが撮影監督。
2作品とも印象的な画がたくさんあり、来年公開の諏訪敦彦監督『ライオンは今夜死ぬ』にも参加されてるそうで楽しみ。
全世界で、ドランやチャゼルなどミレニアル世代の到来が言われているけど、キレヴェレ監督もアラリ監督も、撮影のトマ・アラリも、まさにその流れに与しそうなフランスの新しい波の予感。
わくわくする。おら、わくわくするぞ!!!

And I thought of Ma and I wanted to get back there.
Your face, your race, the way that you talk.
I kiss you, you're beautiful, I want you to walk!!!!!!
TOT

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