RikaAbe

あさがくるまえにのRikaAbeのレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
3.3
圧倒的な映像美から心理を表現する映画かなと思う。どのシーンも珍風ではない考えられた表現方法とテクニックが用いられていて、静かだけど心に迫り来る訴えがある。

内容として、臓器移植がテーマ。交通事故にあった10代の男の子から成熟した女性への心臓提供の一連がいい意味で淡々と描かれている。監督は必要以上に解釈も入れず、捉え方の強要もしない。そこにあるのは、臓器移植を取り囲む関係者それぞれの行動、葛藤をそのまま見せているだけ。事故に遭った男の子の恋人、離婚した両親、移植を受ける女性の子供たち、彼女の元恋人、そして病院の先生と移植のコーディネーター。ダイレクトでは決してない、彼らの片鱗拾って物語は紡がれて行く。

フィクションというよりはドキュメンタリーに近い表現だなと感じた。魅せ方はとてもきれいなので、そういう意味では面白い。ただ、もう少し突っ込んだ議論ができる問題提起をしてもいいかなとちょっと物足りなさも残る
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