RikaAbe

ブルーム・オブ・イエスタディのRikaAbeのレビュー・感想・評価

3.2
ホロコーストに関してユーモラスに描いてる作品としては興味あったが、実際見ると予想以上にポップな仕上がりになっていると感じた。もちろんいい意味でだ。しっかり伝えたいことは伝えているし、それでもって関係者を祖父母にもつ今の世代がどのような状況に置かれているのかを、やりすぎなくらい臨場感もって描いている作品だ。

ナチ側の祖父を持つトトと、被害者側の祖母を持つザジのエキセントリックな振る舞いの数々に少々ぽかーんとなる場面はあるものの、人はそう簡単に過去(歴史、家歴等)から逃れることはできないことを教えてくれる。それは酷いが事実であるのだ。その歴史が悲惨であればあるほど、後世に及ぼす影響は大きい。しかし、いいこともある。人間はその過ちをちゃんと覚えておこうとしていることも伝わってくる。それは苦痛を伴うが、その苦しさがなかったらまた同じことをやってしまいかねないからだ。トトとザジが背負っていかなければいけない十字架から繰り出されるパンチ力はなかなかで、トトはEDになるしザジは奇行に走り自殺未遂を繰り返す。お互いに被害者加害者でありながら、同じ歴史を背負いその重さを理解しているがゆえに、お互いに助け合おうとしている姿勢に平和への一筋が見えるようだ。
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